「暴君の行方」86話のネタバレ
魔王の兄弟とは?
えっ⁉︎この者があの邪悪な魔王⁉︎と驚くナセル。
せっかく僕が名乗ったのに、君は名乗ろうとしないんだね?と魔王。
僕の名はナセル・フォン・ブリジットだ。
伯爵家の三男で、リクサーマン帝国の遠征隊として、魔物たちの異常行動の調査にきました。
剣をしまうナセル。
魔王なら、魔物たちの異常行動や四度の襲撃の理由がわかるのでは?
僕と関連がないわけではないが、僕が関与したわけでもないと魔王。
人間に敵対心のある、僕の側近が起こしたことだ。
僕の次に産まれた二つ目の魔族。
彼も魔物を動かす力を持っている。
ふたつ目の魔族⁉︎そんなの僕は見たことがない‼︎
プッと笑う魔王。
まさか正体を隠して、人間の中に紛れ込んでいるのですか⁉︎
アハハハ!
笑って悪いけど、余計な心配だよ。
魔族は人間界で暮せる性格はしてないし、大変動があった時に、みんな魔界に移動したからね。
人間なら10日も耐えられない魔界が、僕たちにとっては天国なんだから、僕たちが人間の地で暮らすわけがない。
知性を持つ他の種族を嫌う僕の兄弟を除いてはね。
その魔族はどこにいるのです?とナセル。
兄弟が嫌う人間が城に入っているのに、どうして現れないのですか?
ひょっとして、あなたを置いて逃げた…。
ジエンが書斎に辿りついて…。
ガチャッと部屋の扉が開きます。
そこには息を切らしたジエンと遠征隊が2名ほど立っていました。
ジエン⁉︎
(やっと見つけた〜!ヘカテの言ってた書斎!)
ジエン、今すぐにここを出て行くんだ!
ズカズカと中に入るジエン。
何でですか?用があってここに来たのに!
ナセル様こそ、用がないなら部屋から出て行ってください。
ジエン…!
それを聞いていた遠征隊は、主の命令に逆らうジエンのことを皇太子殿下の手下だと確信します。
頭を抱えるナセル。
ふと、ナセル以外の人が目に入るジエン。
ん?誰?
ジエンを守ろうと、ナセルがジエンの前に立ちます。
公子様⁉︎
やれやれ、今日は来客が多いな…と魔王。
大昔のある一日を思い出すよ。
ある日、ひとりの人間がこの城にやってきた。
今よりも魔物が多かったあの森と、稲妻の結界を突破して。
当時の魔族が城に居たとしても、叶わないほどの強い男だった。
そこで、ジエンはピンときます。
(前世の私だ!)
(やっぱりあの夢は前世の記憶だったんだ!)
その男は、大陸で誰よりも高い地位にいたため、全てに飽きたと言っていた。
それを聞いて、友達になれると思った。
世界が生まれてから、長い間ひとりで生きてきた僕は、飽きるという感情を何よりも知っていたから。
季節が数万回移り変わるのは、僕にとっては一瞬のこと。
でも彼はそこから救い出してくれた。
その人が、あなたに何をしたのですか?とジエン。
永遠からの解放、死をくれたのさ。
長い生涯の中で、最高の贈り物だった。
どうしてこんなにも、嬉しそうなんだ?この話、前にもどこかで聞いたことがあるような…。
ジエンとナセルは同時に思います。
白い子と黒い子!
あの演劇は魔王とその人間の話なのか?
あなたの話が真実なら、今、目の前にいるあなたは何なのですか?魔王!とナセル。
えっ!魔王⁉︎と青くなるジエン。
(私、前世で魔王を殺したの⁉︎)
全ての物に記憶が宿るように、この城の記憶の一部が僕なのだ。
生身の人間みたいに見えるのに…。
ナセルの剣を指さして、そうそうその剣だったよと言う魔王。
それと、この城の中にいる、誰かが持っている杖と、ペンダントとジエンの方を見ます。
(なんで私を見るの?ペンダント持ってるのバレてる?)
僕の友達はそれらを使って僕に「死」をくれたのさ。
魔族たちもそれを止めなかった。
僕を裏切ったわけでなく、僕の願いが叶うのを願ってくれたから。
ただ1人を除いてはね。
二番目に誕生したあなたの兄弟ですね?とナセル。
そうだ。
二番目に生まれた魔族だと!?と遠征隊の2人が騒いでいます。
君たちは光の神器の本当の力を知っているか?と魔王。
光の剣は僕の体に致命的な傷をつけ、光の杖は聖なる落雷で傷の回復を阻止する。
そして、光のペンダントは人間以外の魂も人間の輪廻転生の軌道に乗せてくれた。
光のペンダントが人間の蘇生作用を与えられるのは、すでに人間が新たなな体を必要としていないからだ。
まさか…だったらあなたは光のペンダントで…。
そう、人間は「蘇生」だが、僕の場合は「転生」だったのだ。
では、あなたの魂を持つ者が、人間として誕生したということですか!?
(魔王の魂を持つ人間がこの世にいるなんて!!)
ところが、人間を嫌っている兄弟がそれを許すはずはなく、僕が死んだときに、地上にいる人間を全て殺そうとしたんだ。
人間がいなくなれば、僕が生まれ変わることは不可能だからだ。
そして兄弟は神器の設計図を盗み、光の神器を使えば、僕の体を元通りにできる事実を掴んだんだ。
まさか…復活…!?と驚くナセル。
光の神器を3つ集めて、人間の中にいる魔王の魂を見つけ出し、復活させようとしているのですね?
そうだ、そして兄弟も光のペンダントで人間に生まれ変わろうとした。
魔族であることを隠して、僕の魂を探すのは不可能だったからだ。
問題なのは、平凡な人間の体では魔気を感知できないこと。
そこで、彼が目をつけたのが天界に移住せずに残っていた天族だった。
えっ!まさか…とジエン。
彼は数少ない天族を見つけ出し、次々と子を宿らせていった。
魔気だけでなく、神聖力をも操ることができる種族を作るために。
それって、実際に成功したんですか?と聞くジエン。
いや、ほとんどは失敗して、お腹の中で暴れ死にした、たった1人を除いて。
その結果を君たちは外で見たはずだ。
ジェラド…!!
結局、元凶はジェラドだったんだ!
そして、ジェラドが襲来を始めたということは、魔王の生まれ変わりを見つけたということ!!
魔王の頼みとは?
僕たちがジェラドに気づかれずに城を出る手助けをしてくれませんか?とナセル。
もちろん協力する、彼の計画が成功するは僕も阻止したい。
ただ、条件がある。
その光の剣で僕を殺してほしい。
…!?
死んだはずの僕が生前のままの姿でいることができるのは魔気のせいだ。
魔気を払う、その剣なら僕を完全の消すことができるだろう。
でも…!
魔気で存在することにすら、もう飽きたんだよ…。
遠征隊全員を無事に帝国に帰してくださるのなら、お手伝いしますとナセル。
もちろんだ、僕の力は君が思っている以上にに優れているからね。
遠征隊に、いますぐにみんなをここに集めるようにお願いするナセル。
ジエン、向こうをむいててとナセル。
いくら相手がこの世にいない存在でも、人を殺す姿は見せたくないから…。
魔王の剣を向けるナセル。
神々しい光が辺りに広がりました。
(公私様、その存在の命を奪ったのは、まぎれもなく前世の私なんです。)
しっかりと目に焼き付けるジエン…。
「暴君の行方」86話の感想と考察
魔王の登場で、今までの謎だらけだったヘカテとジェラドの誕生の秘密が明かされました!!
なんだかめちゃくちゃスッキリした気分です。
ということは、魔王の生まれ変わりはヘカテ?
そうなると、ジエンとヘカテがお互いに唯一無二の存在だと思う理由もよくわかります。
なんか、ちょっとした感動があるのは私だけでしょうか?
そこに、ジエンの前世で関わりのある女人3人、ナセル、カールリス、ベルハルトが存在するわけですが、これからどんな風に話が展開するのかワクワクしますよね?
今はとにかく、ジェラドが魔王を復活させないように、帝国に逃げることが最優先ですが、ヘカテはジェラドの侵入を防いでいるので、書斎までくることはできるのでしょうか?
全員を帝国に帰すと約束したからには、魔王さん、ちゃんとやってくれますよね?
ジエンも前世で自分が殺した魔王と、時を経て再会して不思議な気分だったことでしょう!