暴君の行方 79話〈前回のお話〉
パトリックおじさんに騙されて、木のモンスターに捕まってしまったヴァレノール卿。
ジエンは抗魔力を持っているので、ヴァレノール卿を助けることに成功します。
メイドに助けてもらったことを恥だと言うヴァレノール卿の真意は…?
暴君の行方 80話 ネタバレ
ヴァレノール卿の本心
ヴァレノール卿が「ジエン」と呼びかけます。
ジエンは初めて名前を呼ばれてビックリします。
どうしてテレポート魔石を使わなかったのと質問するヴァレノール卿。
使っていれば今頃安全な場所に居られたのにという意味のようです。
ジエンは、ヴァレノール卿が自分の心配をしてくれていたことに驚きました。
カールさんとナセル様には旅の道中でお世話になったので、一人だけ逃げるなんてできなかったとジエン。
忠誠心の為に…?と笑うヴァレノール卿。
騎士が忠誠心を笑うって…と心配になるジエン。
騎士には騎士の道理があって、メイドにはメイドの道理があると言うヴァレノール卿。
メイドが騎士の真似事をして死んだとしても誰も悲しんではくれないと。
メイドである以上、いくら努力してもその死は無駄死にになるだけだと。
忠誠心を見せたところで、得られるのは金貨数枚、メイドが騎士の真似事をして得られる報酬としては見合わない額だと言います。
ジエンは、今までのヴァレノール卿の自分への発言は、全て心配してくれていたからこその忠告だったと気づきました。
ジエン、騎士になる?
ヴァレノール卿は、ジエンに平民も騎士団に入る機会が与えられていることを話出しました。
ジエンなら数年で合格できると勧めてきます。
剣術を磨くのにはかなりの時間は要するだろうが…と付け加えて。
剣術は天罰だから一生かかっても無理だと思うジエン。
忠誠心や実力を疑われたくなのなら騎士になれ!と無茶振りするヴァレノール卿。
そこまでは思っていないとジエン。
どうしてなんだ?おまえの実力があれば大丈夫だ!とエキサイトします。
地位、名誉、金が欲しくないのか!?と。
ジエンは、前世の罰でこんな処遇なんです…とも言えず…。
私は静かに暮らすことが人生目標だから、遠征がすんだら田舎に帰るつもりだと本気の形相でヴェレノール卿に訴えます。
そ、そうか…と迫力負けのヴァレノール卿。
才能があるのにもったいないとつぶやいていました。
ヴァレノール卿の感謝の気持ち
ジエンはヴァレノール卿も爵位のために剣を振り回したわけではないんでしょ?言います。
本当に変わったメイドだとふっと笑うヴァレノール卿。
「ヴァレノール」の跡継ぎである私がメイドに助けられたと知られるのが怖かったけど、おまえは自らの意思で騎士にはならないのだから、気にする必要はなかったわけだと言います。
這い上がるために努力する私と、成り下がるために努力するおまえ。
だからもうおまえに助けられたことは恥じる必要はないとわかった。
「ありがとう」とヴァレノール卿。
ジエンは顔をくしゃくしゃにして「どういたしまして」と笑いました。
魔石が赤く光った理由は…?
ヴァレノール卿にはジエンを殺したいという殺意は初めからなかったことが判明しました。
パトリックおじさんが怪しいけれど、遠征隊といた時にも魔石が赤く光っていたこともひっかかります。
ロイのフリしたモンスター?
村に戻るとカールさんが出迎えてくれました。
ロイ!ジエン!無事で良かった!と安堵しています。
カールさん!カール兄様!とジエンたちも駆け寄ります。
パトリックという男の姿がないが、おまえたちも…?というカールさんに、おまえたちもということはここでも何か…?と聞くヴァレノール卿。
そうだと答え、怪我はないのか?と心配するカールさん。
罠にはめられたけど、ジエンのおかげで無事に脱出することができたと言います。
言わなくていいのに…と恥ずかしくなるジエン。
ジエンに助けられた…と一瞬考えて、ロイがジエンに助けられただって!?と驚くカールさん。
おまえ、ロイのフリをしたモンスターだな!?と錯乱するカールさんを剣で斬ろうとするヴァレノール卿。
おかしいな、攻撃的なところはロイそっくりだとまだ言っています。
ジエンもあのお方は間違いなくヴァレノール卿ですと援護。
すると、ジエンに「ロアナ」と呼んでくれと言い出すヴァレノール卿。
命の恩人だからと恥ずかしそうです。
やっぱりモンスターだ!ジエン!逃げるぞ!とカールさん。
その後、カールリスはヴァレノール卿にボコボコにされました…。
村であったこと
村では何があったのかカールさんに確認します。
ナセル公子もヘカテ司祭も怪我をしていたのに、よく無事でしたね?とヴァレノール卿。
村人たちは全員マナが使えたはずですが…。
ボロボロになってちょっと半べそのカールさんが、そうなんだよと話出します。
自然の力は恐ろしいと思い知ったんだと。
「自然の力」とはバーリア様の力ですか?とジエン。
そう、驚くなよ、村人たちは全員死んだんだというカールさん。
一瞬、言葉を失くすジエンとヴァレノール卿。
全員って、血痕もほとんど見られなかったと驚きます。
水を使って切り裂いたのではなく、干からびさせたんだとカールさん。
干からびさせた…?
バーリアが引いた線を越えてきた村人たちは全員、体の水分が一瞬にして抜け、干からびて死んでしまったと説明します。
そんな…。
バーリア様は無事なんですか?とジエン。
バーリアは全く動じてないよ、最初からベルの計画に反対すらしていなかったし、彼女にとって「逃亡者:たちは何の価値もない存在だったんだとカールさん。
その価値の「判断基準」は誰のものかわかるだろ?と言われ、ジエンもヴァレノール卿もすぐにベルハルト皇太子が思い浮かびました。
カールさんは、ベルがバーリアの人間性に惹かれることを願っていましたが、今回のことで、確かに興味を持ち始めたようですが、それは「女」としてではなく「道具」としてだと感じていました。
ヘカテを心配するジエン
ジエンは姿の見えないヘカテが心配になり、ヘカテのいる家に急ぎます。
そんなに慌ててここへ来て、心配するようなことではないと言うヘカテ。
村人と僕を結び付けないで欲しいと言います。
でも…と口ごもるジエン。
僕たちの関係はジエンが思っているようなものではないと言います。
そんに僕の心配をしてくれるなんて育てた甲斐があると、ジエンにお茶を出すヘカテ。
私たちはオーウェンの元で育ったんだから、ヘカテに育ててもらった覚えはないと言うジエン。
伯爵領の人に聞いてみましょうか?と余裕のヘカテ。
確かにヘカテはジエンを「唯一の存在」と呼びますが、自分よりも古くから知っている村人たちが死んだのは何とも思わないのは不思議だと感じます。
オーウェンが死んだときも…。
鼻歌でも歌いそうにお茶を飲んでるヘカテを見て、本当に平気そうだと感じるジエン。
ジエンはヘカテがよくわからなくなりました。
ヘカテにとって私はどういう存在…?
暴君の行方 80話 感想と考察
ヴァレノール卿に、もとからジエンを殺したいという殺意がないことがわかって本当に良かったです。
自分にも厳しくて、他人にも厳しい人だっただけなんですね。
最後にはちゃんとお礼も伝えて、まさかの名前呼びまで要求って、ツンデレ…。
「ロアナ様」って呼ぶようになるのかな?
そんなヴァレノール卿をモンスター呼ばわりしてカールさんがボコボコになっているのも面白かったです。
村でも村人が反乱を起こしていたようですが、バーリアの力で全員殺されてしまったんですね。
村人を何の価値もないと判断したバーリアは手を下すのも一瞬だったんですね。
それほどまでにベルハルトと同調しているバーリアが恐ろしく感じてしまいます。
ジエンはヘカテの心配をしていましたけど、ヘカテは本当に平気そうでしたね。
オーウェンが死んだときも確かに平気そうだったヘカテ。
ジエンがそれほど感情のないヘカテがそうして自分を「唯一の存在」だと言うのか気になりますよね。
ジエンに対してだけは、何かの感情があるということでしょうか?
これからの展開をしっかり観察していきたいと思います。